よみもの13

鶴喜そばの奥深き世界
~歴史、味、そして季節の彩り~

鶴喜そば製菓株式会社

鶴喜そばは、日本の食文化に根付いた300年以上の歴史を持つ名店だ。古くから健康に良い食品として知られたそばを中心に展開されている。「そばぼうろ」や季節限定の絶品「そばそうめん」など、伝統の味を大切に守りながら、人々の心を引きつけ続けてきた。その魅力を体感する旅に出かけましょう。

鶴喜そば
~伝統の味がつなぐ300年~

鶴喜そばの歴史は、1716年(享保初年)に始まる。比叡山延暦寺は天台宗総本山として、京都御所から多くの来賓が訪れる重要な場所であった。しかし、寺のある山上の環境は厳しく、食べ物が不足していた。そのため、祖先がそばの提供に携わってきた。
その後、江戸時代中期には、比叡山延暦寺の台所を預かる門前町として栄え、多くの参詣者で賑わっていた山麓の坂本で、祖先である鶴屋喜八という人物が、そばを商うようになったと聞いていると鶴喜そば製菓株式会社 代表取締役 眞鍋衛輝(まなべえいき)氏は言う。そして、明治時代に入り、鶴喜そばは天台宗総本山延暦寺や他の寺社の御用達として知られるようになる。

比叡山延暦寺

比叡山から見える琵琶湖の景色

鶴喜そば 唐崎店

鶴喜そば製菓株式会社 代表取締役
眞鍋衛輝(まなべえいき)氏

明治45年、後の大正天皇が滋賀県を訪れた際、鶴喜そばをお土産として持ち帰られた。その後も大正天皇の御大祭などで献上され、その名声は広まった。このようにして、鶴喜そばは創業から300年以上の歴史を持ち、多くの人々に愛され続けている。
そばは古くから健康に良い食品として知られており、比叡山延暦寺の修行僧行者が、鶴喜そばのそば粉のみ食して五穀を断ち修行する行は、今日も続いている。

そばは精気が強く栄養価が高いだけでなく、そばに含まれるルチンは、毛細血管を強化し血流を改善する効果がある。これにより、脳梗塞や心臓病などの血栓性疾患の予防に役立つと言われ、生活習慣病の予防や美肌効果も期待できる。そば1人前で1日に必要なルチンを摂取できるため、健康に気を使いたい方にもおすすめできる古くから親しまれる日本の伝統食だ。

鶴喜そばの冷そば

鶴喜そばの五色そば

鶴喜そばのゆばそば

鶴喜そば「そばぼうろ」の魅力

歴史のある鶴喜そば。そばも有名だが、そば粉を使った焼菓子「そばぼうろ」も昔から変わらず愛されている商品だ。
昭和40年3月より製造販売開始から変わらない味を継承している。添加物は一切使用せず、小麦粉、卵、砂糖、そば粉、重曹のみで作られ、シンプルな材料だが、絶妙な配合にこだわり、気候や温度湿度の違いによって卵の量を微調整されることで、ならではの味に仕上げている。そば粉には上質な「はな粉※」をふんだんに使い、合わせて重曹を入れることで、口の中でサクサクと溶ける食感を生み出す。焼き上げには長いトンネル釜式バンドオープンを使い、焼く前に成形された生地の表面に蒸気をあてて焼き上げることで「そばぼうろ」につやが出る。そばの香りを最大限に引き出し、絶妙な焼き加減を追求されている。
驚くべきことに、「そばぼうろ」は少人数のチームで作られている。チーム全員が全工程に関わり、お互いが助け合って取り組んでいる姿を拝見した。この方法により、一貫性のある品質が守られ、変わらぬ味わいが提供されるのだ。
その優しい風味は、食べると懐かしい気持ちになり、心を温かな思い出で包み込み、一度味わったら忘れられない存在となる。単なる焼き菓子ではなく、日本の職人の技と伝統が息づく、特別な逸品だ。
職人たちの情熱が隠し味となり、長年多くの人に愛されている理由がわかった!
※はな粉とは、打ち粉に使われるそば粉のことで、蕎麦の実を製粉する時、初めに引き出される。そば粉に比べると粒子が細かくサラサラとしているのが特徴。

そばぼうろの成形

そばぼうろの焼き上がり①

そばぼうろの焼き上がり②

鶴喜そばのそばぼうろ

季節限定の絶品
「そばそうめん」

IMASHIGAでおすすめしたいのが、「そばそうめん」だ。
この商品は、そばをそうめんのような細さに仕上げ、驚くほどの食感と独特のコシ、そして蕎麦の香りが特徴だ。清涼感あふれる味わいと、喉越しの良さが絶妙にマッチし、そばとは一味違う美味しさを堪能できる。
季節限定(4月頃~9月頃)の商品だが、発売が待ち遠しいファンからの問合せがある程人気だ。通年販売してほしいくらい美味しい!

そばそうめん盛り付け②

そばそうめん盛り付け①

最後に、「そばそうめん」を茹で時のコツを聞いてみた。
できるだけ大きな鍋でたっぷりの水を沸騰させ、たまに混ぜながらゆで時間を守って茹でること。茹でたそばを冷水で揉み洗いし、ヌメリを落とすために素早く行う。急速に冷水で冷やすことで余熱による糊化を防ぎ、シャキッとした歯切れの良いそばになる。洗う際には数回水を変えながら行い、夏場には氷水を使用するのが美味しくいただくコツだ。
おすすめのトッピングはシンプルに、刻んだネギと天かす。冷たく食べるだけでなく、にゅうめんのように温かく食べるのも良し、鍋の〆にもいかがですか?

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