よみもの14

近江の風土が育む
「飯魚(いお)」ふなずし

本ニゴロ鮒専門 飯魚(いお)

琵琶湖の風光明媚な湖畔で古くから愛される伝統料理、それが「ふなずし」。この美味の秘密は琵琶湖固有の「ニゴロブナ」と近江米の完璧な融合にある。ふなずしは乳酸菌による自然発酵で作られ、その健康効果から近年、再び注目を集めている。この逸品は近江の恵まれた自然環境から生まれた食文化であり、先人たちの知恵と技が息づいている。家庭に本物の味を届けたいという想いが込められた「飯魚(いお)」のふなずしは、琵琶湖の風情と歴史が詰まった贅沢な味わいと共に、心も満たしてくれることでしょう。

地域と共に歩む
~「飯魚(いお)」の挑戦~

「飯魚(いお)」の創業者である大島正子氏は、滋賀県の中央に位置する近江八幡で生まれ育ちました。大学時代は京都で過ごし、卒業後は就職し結婚。大島氏の実家は農業が盛んな大中の干拓地を所有し、自然農業を営んでいましたが、実父の他界をきっかけに2006年に家業を継ぐべく、家族で近江八幡に戻ることを決意した。 

飯魚 大島正子氏

実家の農地が、減反政策※対象の為、米以外の作物を育てることを余儀なくされ、何を作ろうかと思案したところ、大島氏は地元のソウルフードであるふなずしが好きだったこともあり、干拓地を利用し実験的に、ニゴロブナの養殖を始めた。創業して18年。ただただ続けていることは、原料がニゴロブナ以外のふなずしを作らず、ふなずしを使った加工品以外のものは作らないというポリシー。※減反政策とは・・・米の過剰生産を抑え、米価を維持するために国が米の生産量を調整する制度。2017年に廃止。

ニゴロブナの養殖場

琵琶湖の風土が生んだ逸品
~「飯魚(いお)」ふなずしの魅力~

ニゴロブナの養殖は人工飼料を与えず、魚の餌となるスジエビやプランクトンを増やす工夫をし、自然に近い環境で生育させ、卵から3年程育てたものを、年間約1トン~1.5トンをふなずしに加工している。
事業をはじめた頃は、ふなずし作りが盛んな沖島(琵琶湖最大の有人島)の漁師さんからふなずし作りを学び、最初の10年程は試行錯誤したが、作るごとにコツを掴み、今の「飯魚(いお)」の味になった。大島氏曰く、作る場所でふなずしは特徴がでる。県内の北か南かによって温度や日照時間も違う。同じ作り方をしていても、場所によって味が変わる。飯魚の味はここでしか作れない。

飯魚のふなずしをスライスしているところ

飯魚のふなずしの製造工程は、春に成育したニゴロブナを専用のプールで泳がせ、ドロ吐きをさせてから鱗と内臓を取り除き、卵を残して塩漬けにする。初夏に塩樽から取出し、塩を洗い流し磨きにかけてぬめりを取り除き、陰干しを行い、近江米のご飯と何層にも樽に並べ、重石をのせ水を張り発酵させる。熟成期間を過ぎた冬の頃、樽からとりだし完成。濃厚で深い味わいと独自の酸味は発酵の技法が醸し出す旨味となる。

ニゴロブナの搬入

ニゴロブナの塩漬樽

ニゴロブナを干す

ニゴロブナにご飯を詰めている

ご飯を詰めたニゴロブナを樽に並べていく

ご飯を詰めたニゴロブナを何層にもして漬ける

ニゴロブナの本漬け

ふなずしは発酵食品として注目されている。発酵により栄養分が増し、旨味も増え保存も効き、健康へのメリットも医学的に検証されている。血圧上昇を防ぎ、血中コレステロール値を低下させ、がんの進行を阻害すると言われている。乳酸菌の量や塩分量からしても、1日1切れを毎日食べ続けるといいと言われている。また、捨てるところが無く骨まで食べる事ができ、カルシウムまでとれるまさにスーパーフード。

廃棄から創造へ
~プロも認めた究極の魚醤油の誕生~

毎年ニゴロブナの塩漬けをする際、内蔵を廃棄していたことから、使い道を考えていたところ、塩漬けしたニゴロブナを樽から取り出す時に、樽底の液体が魚醤油のような香りがすることに気付き、廃棄していた内蔵を使って、魚醤油作りに挑戦することになった。まずは醤油屋さんに相談したが、魚醤油についてはわからないと言われたが、醤油の作り方の基本ルールを教えていただけた。醤油を作る際は麹を使うのが一般的だが、大島氏は酒粕で発酵させるアイデアを思いつき、物産展に出店していた際に仲良くなった、地元で有名な蔵元「旭日 藤居本家」の酒粕と共に三年間発酵、熟成したものを加熱。しかし、濁りがでる。どのようにして透明にできるか考え、3回フィルターでろ過したところ納得のいくものができた。透き通った琥珀色で、とても香りがよく、刺身や寿司など和食にもよく合い、プロの料理人も絶賛。和食・洋食・中華問わず、隠し味に少し使うだけで風味豊かな味わいになる。しかも、添加物は一切不使用!

飯魚渾身の「魚醤油」

IMASHIGAでも試食しましたが、魚醤油特有の匂いも無く高級感のある上品な香りがし、お刺身などに少しつけるだけで風味が増し、刺身の美味しさを引き立てました。大島氏のおすすめは「チャーハン」。1滴たらすだけで、劇的にチャーハンが美味しくなると言われ、試してみると本当に美味しかったです!旨味と風味が広がり、口の中で余韻が楽しめました。まさに魚醤油の概念が変わりました!!
とても丁寧に作られたオンリーワンの魚醤油。たくさんの人に味わっていただきたいです!!

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