よみもの26
いちごとまっすぐ向き合う市川農場
市川農場
滋賀県で一番小さな町・豊郷町でいちごを育てる市川農場。
今回お話を聞いたのは、代表の市川健治さんです。
この農場のいちごを食べると、ふと「また食べたいな」と思います。
その理由は、特別な技術や派手な仕掛けではありません。
市川農場が大切にしているのは、“おいしさと、ちゃんと向き合い続けること”。
その姿勢が、いちごにも、加工品にも、まっすぐ表れています。
異業種から農業へ。滋賀で選んだ道
市川さんは、もともとウェディング業界で働いていました。
人の幸せに寄り添う仕事にやりがいを感じながらも、業界の先行きを考えたとき、
「この先も必要とされる仕事は何だろう」と立ち止まったといいます。
選んだのが、地元・滋賀での農業でした。土地があったこと、そして自分の手で価値を生み出せる仕事であること。なかでも、限られた面積でも経営が成り立ち、味で評価される作物として選んだのが、いちご農家です。
いちごづくりは、環境づくり
市川農場のハウスでは、温度や水分、二酸化炭素濃度をデータで管理しており、毎日数値を確認しながら、いちごの様子に合わせて細かく調整していきます。
受粉を担うのはミツバチ。
一万株に咲く何十万もの花を、人の手だけで支えることはできません。
自然の力を借りながら、安定して実をつける環境を整えています。
こうした積み重ねの先にあるのが、「甘いだけじゃない」「もう一口食べたくなる」味わいです。
「また来たよ」が答えになる味
市川農場で育てている品種は「章姫」一種類。
甘さと酸味のバランス、口どけのよさを大切にしています。
直売や対面販売が多いからこそ、味の評価はとても正直です。
「また来たよ」という一言が、何よりの答えだと市川さんは話します。
畑の延長線上にある商品づくり
市川農場の商品づくりは、新しいことを狙って生まれるのではありません。
いちごと向き合う日々の中から、自然と形になっていくものばかりです。
娘さんとの何気ない会話がきっかけで生まれたのが、「いちごバター」です。
ある日、「このいちごジャム、バターと一緒に塗ったらおいしそうやな」という一言から、焼いたパンにいちごジャムとバターを重ねてみました。
ひと口食べてみると、いちごの香りとバターのコクが自然に溶け合い、思わずもう一口食べたくなる味わいに。
その感覚をそのまま形にしたのが、いちごバターです。
甘さや香りがバターに負けないようバランスにこだわり、「いちごを食べている」と感じられる仕上がりを目指しました。
おすすめは、パンを軽く焼いてからたっぷり塗る食べ方。
温かさでバターがほどよく溶け、いちごの甘酸っぱさが、よりふんわりと広がります。
展示会で隣のブースだったことをきっかけに出会ったのが、静岡県掛川市にある老舗専門店、掛川一風堂さん。お茶と珈琲の製造・販売を手がけ、茶匠の技を活かした深蒸し茶など、香りと味わいを大切にしたものづくりを続けておられます。
「いちご抹茶」は、そんな掛川一風堂さんとの出会いから生まれた逸品です。
口に含むと、まず抹茶の豊かな香りがふわりと広がり、続いていちごのやさしい甘酸っぱさが重なります。
どちらかが主張しすぎることなく、最後まで心地よい余韻が続く味わい。
そのバランスの良さから幅広い世代に親しまれ、抹茶ブームの流れも後押しとなって、国内はもちろん海外からの反応も増えています。
現在では海外出荷や大型店舗での取り扱いも広がり、市川農場の加工品の中でも特に人気の高い商品となりました。
「加工しても、いちごの味がちゃんと残ること」。
その想いが、このいちご抹茶にも、しっかりと息づいています。
市川さんからのメッセージ
「一粒で満足する味よりも、気づいたらもう一つ食べたくなる味をつくりたいんです。」
甘さだけを追いかけるのではなく、酸味や口どけ、後味まで含めて、自然と手が伸びるバランスを大切にしてきました。
いちごづくりも、加工品づくりも、考え方は同じ。
「美味しいって言ってもらえて、また食べたい、また来たいと思ってもらえたら、それで十分です。」
IMASHIGAからのメッセージ
市川農場さんのいちごや加工品には、 強い主張よりも、静かな確かさがあります。
一度食べて終わりではなく、 「また食べたい」「もう一つ食べたい」と思わせてくれること。 それは、日々の積み重ねと誠実なものづくりがあってこそ生まれる味です。
滋賀県で一番小さな町から届く、 やさしくて、忘れられないおいしさ。 これからも、そんな存在であり続けてほしいと、IMASHIGAは思います。
そしてもし、少しでも気になったなら。 焼きたてのパンにいちごバターを塗ってみたり、 いつものおやつに、いちご抹茶を添えてみてください。
きっとそこに、 「もう一つ食べたくなる」理由が見つかるはずです。