よみもの27

季節の記憶。余呉の自然が育むはちみつ
~びぃふぁむ みつばちの雫~

びぃふぁむ~みつばちの雫~

朝の食卓に、ひとさじのはちみつ。 それだけで、いつもの一日が少しやさしく始まる気がします。
滋賀県の最北端に位置する長浜市余呉町の自然の中で生まれる、びぃふぁむ「みつばちの雫」のはちみつ。 市街地から少し離れたこの土地だからこそ守られている静かな環境も、その味わいを支えています。
花や季節によって変わるその味わいには、その年の空気や風景が、そっと閉じ込められています。
今回は、はちみつづくりを通して自然と向き合う、養蜂家塩のり子さんにお話を伺いました。

子どもの頃の記憶から始まった、はちみつづくり

養蜂を始めたきっかけを尋ねると、「いろんなタイミングが重なって」と、穏やかな言葉が返ってきました。
これまでとは違う仕事に挑戦したいと思ったこと。 そして、子どもの頃を過ごした余呉の地で、もう一度自然と関わる仕事ができないかと考えたこと。
最初は週末だけの養蜂でしたが、うまくいかず、ミツバチを死なせてしまった経験から、「中途半端では続けられない」と決意。師匠のもとに弟子入りし、3年間、基礎から学び直したといいます。

養蜂家 塩のり子さん

はちみつが生まれるまでに、起きていること

日本有数の豪雪地帯である余呉町の厳しい冬が終わって、春になり一気に花が咲き始めると、ミツバチたちは蜜を集め始めます。 巣の中に蜜が十分にたまり、ミツバチ自身がフタをしたものだけが、はちみつになった合図です。
びぃふぁむさんでは、蜜源となる花をあえて植えていません。 その土地にもともとある草花、その年に自然に咲いた花から集まる蜜を、そのまま受け取るためです。
だから、香りや味わいは毎年少しずつ違います。 「同じはちみつは、二度とできないんです」
人の都合ではなく、自然のペースに合わせること。それが、塩さんのはちみつづくりです。

季節とともに変わる、はちみつの表情

4月から8月は、巣箱の中が一気ににぎやかになる季節。 反対に秋が近づくと、あたりは少しずつ静かになっていきます。
「巣箱の音や香り、様子で、季節がわかるんです」と話す塩さん。
はちみつは、ミツバチのごはん。 巣箱が大きくなり、暮らしに余裕ができた分だけ、人が分けてもらう。
「搾取ではなく、分けていただいている感覚です」
自然とのちょうどいい距離感を大切にしています。

季節で味わうはちみつ、それぞれの味わい

びぃふぁむさんでは、花や季節の違いによって、その時々で並ぶはちみつの種類が変わります。
たとえばトチのはちみつは、後味にほんのりシナモンのような香りがあり、甘さがすっと引いていくのが特徴。
「甘いものが得意じゃない方にもおすすめです」と教えてくれました。
その日の気分や、合わせたい食べものによって選べるのも、はちみつの楽しみのひとつです。

直売やイベントでは、お客様との会話も、はちみつづくりの大切な一部です。
「はちみつって、こんなに味が違うんですね」そんな声を、何度も耳にしてきました。
中には、「はちみつが苦手なんです」と話されていた方が、いくつか食べ比べるうちに、「これなら好きかも」と一本を選ばれることも。
「自分のはちみつが見つかりました」そう言ってもらえた瞬間は、今でも印象に残っているといいます。

無理をしないから生まれる、やさしい甘さ

病気やトラブルが起きたときも、できるだけ薬に頼らず、風通しや日当たりなど、環境を整えることを大切にしています。
小さな養蜂家だからこそ、一箱一箱に目が届く。 「無理をしない。自然に逆らわない」
その姿勢が、びぃふぁむさんのはちみつの、やさしい甘さにつながっています。

びぃふぁむさんからのメッセージ

「はちみつは、甘さを足すというより、味を整えてくれる存在だと思っています。」
パンやヨーグルトに添えるのはもちろん、 コーヒーや紅茶に加えると、砂糖よりも後味がすっきりして、 飲み物の香りがふわっと立ち上がります。
煮魚に使うのもおすすめです。 照りがやさしく、素材そのものの味を引き立ててくれるので、 いつもの家庭料理が少しだけやわらかな印象になります。
それぞれに個性はありますが、毎日の食卓にも自然となじみます。
その日の気分や季節に合わせて、「今日はどのはちみつにしよう」と選ぶ時間も含めて、はちみつのある暮らしを楽しんでもらえたら嬉しいです。

IMASHIGAからのメッセージ

季節ごとに味が変わるはちみつは、自然からの小さな贈りもの。
びぃふぁむさんのはちみつには、丁寧に向き合う時間と、自然へのまなざしが詰まっています。
今日はどの花の味にしよう。 そんなふうに選ぶ時間も、きっと楽しみになっていきます。

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