よみもの28

祭りのために生まれたビール。
~HINO BREWING~

ヒノブルーイング株式会社

滋賀県蒲生郡日野町。琵琶湖の東側に位置する、自然と歴史が息づく町です。
鈴鹿山脈のふもとに広がる穏やかな風景の中で、古くから商人文化や農業が発展してきました。
中でも有名なのが、毎年春に行われる「日野祭」。
豪華な曳山が町を巡り、多くの人でにぎわうこの祭りは、地域の人々にとって大切な伝統行事として受け継がれています。
そんな祭り文化が今も色濃く残るこの町に、ちょっと気になるブルワリーがあります。
その名も「HINO BREWING」。
コンセプトはなんと“祭りのためのクラフトビール”
掛け声やにぎわい、人が集まるあの空気感までを一杯に込める。
そんなユニークな発想から生まれたビールづくりが、いま地域の中で広がりを見せています。
祭りとビール。
一見意外な組み合わせのようで、どこかしっくりくるこの関係。
その背景にある想いやストーリーを、ヒノブルーイング株式会社 代表取締役・田中宏明氏にお話を伺いました。

きっかけは「祭りを残したい」という想い

HINO BREWINGが生まれた背景には、日野町に根付く祭り文化があります。
中でも、地域の人々にとって特別な存在である綿向神社(わたむきじんじゃ)の例祭「日野祭」。
曳山が町を巡り、町全体が熱気に包まれるこの祭りは、日野町の誇りともいえる伝統行事です。
田中氏自身も、子どもの頃からこの日野祭に参加してきた一人。
だからこそ、その風景や空気感は、とても身近で大切なものだといいます。
一方で、担い手不足や時代の変化により、その文化をどう次の世代へつないでいくかという課題もあります。

「この風景を、これからも残していきたいんです。祭りは、ただの行事ではなくて、人と人がつながる大切な時間なので。」
その想いから生まれたのが、祭りと関わり続ける新しいかたちとしてのブルワリーでした。
「ビールをつくること自体が目的ではなくて、あくまで“祭り文化を支えるための手段のひとつ”なんです。」
そう語る言葉からは、ものづくりの背景にある、まっすぐな想いが伝わってきます。

左:代表取締役 田中宏明氏 真ん中:取締役・ヘッドブルワー ショーン フミエンツキ氏 右:取締役・クリエイティブ・ディレクター トム ヴィセント氏

「祭りのためのビール」というコンセプト

HINO BREWINGの大きな特徴が、「祭りのためのビール」という考え方です。
祭りの高揚感、仲間や家族との時間、地域の一体感。
日野祭の時期には、親戚や仲間が集まり、一緒に料理を囲みながら過ごす風景も、この町では当たり前の光景です。
そんな“人が集まり、同じ時間を楽しむ場”に寄り添う存在として、ビールは位置づけられています。
そのため、味わいも“飲みやすさ”や“場の楽しさ”を意識した設計に。
ゴクゴク飲めるものから、ゆっくり味わうものまで、シーンに合わせた多彩なラインナップが揃います。
「美味しいね」で終わるだけでなく、「楽しかったね」と言える時間につながること。
それもまた、HINO BREWINGが大切にしているビールのあり方です。

ドントヤレIPA

ヤレヤレエール

クダリスタウト

名前にも祭りの熱気が宿る、個性豊かなビールたち

代表的な銘柄には、思わず声に出したくなるような名前が並びます。
• ヤレヤレエール
• ドントヤレIPA
• バカラガー
• クダリスタウト
これらはすべて、祭りの掛け声や文化に由来したもの。
味わいもそれぞれ個性的で、爽やかで軽快なものから、コクのあるしっかりしたタイプまで幅広く展開されています。
名前と味、その両方で“祭りらしさ”を感じられるのが魅力です。

瓶から缶へリニューアル

伝統とクラフトの融合。こだわりの醸造

HINO BREWINGでは、クラフトビールならではの自由な発想を大切にしながら、一つひとつ丁寧に仕込んでいます。
一般的なビールが品質の均一性や大量生産を重視するのに対し、クラフトビールは小規模醸造だからこそ、原料選びや製法の違いによって香りや味わいに個性を持たせられるのが特徴です。
たとえば、使用する麦芽やホップの種類、発酵温度や熟成期間の調整によって、フルーティーな香りやコク、苦味のバランスなどを細かく設計することができます。
HINO BREWINGでも、そうした工程一つひとつに向き合いながら、そのビールに合った最適な仕込みを行っています。
熟成型ビール「HINO Series」では、発酵後さらに時間をかけて熟成させることで、味わいに奥行きやまろやかさを持たせるなど、時間という要素も大切にしています。
また、コーヒーなどの副原料を取り入れることで、香りや風味に新たな表現を加えるなど、既存のビアスタイルにとらわれない挑戦も特徴のひとつです。
そのアイデアの多くは、人とのつながりや地域の中から生まれるもの。
技術と感性、その両方を活かしたビールづくりが、一杯の中にしっかりと表れています。

HINO Series

ビールを通して、祭りを支える仕組み

HINO BREWINGの取り組みは、単なる商品づくりにとどまりません。
売上の一部を祭りの支援に活用するなど、ビールを通じて地域文化を支える仕組みづくりにも取り組んでいます。
また、地元だけでなく他地域の祭りとのコラボレーションなど、“祭り文化そのもの”を広げていく活動も展開中です。

HINO BREWINGからのメッセージ

私たちが目指しているのは、ビールを通して人が集まり、そこから新しい文化やつながりが生まれていくことです。

祭りは、地域にとって大切な時間であり、人と人をつなぐ場でもあります。
その一瞬のにぎわいや、そこで生まれる関係性を、これからも大切にしていきたいと考えています。

また、HINO BREWINGのビールは、祭りの場だけでなく、日常でも楽しめる存在でありたいと思っています。
食事と合わせてゆっくり味わうのもよし、仲間とワイワイ楽しむのもよし。
温度やグラスによっても表情が変わるので、ご自宅でもさまざまな楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。

そしていつか、この日野の祭り文化を、全国、さらには海外へと発信していけるように。
一杯のビールをきっかけに、この町の魅力や想いが、少しでも多くの人に届いていけば嬉しいです。

これからも、祭りとともに歩んでいきます。

IMASHIGAからのメッセージ

祭りのにぎわい、交わされる笑顔、そして人と人とのつながり。
HINO BREWINGのビールには、そんな日野町の風景がそのまま詰まっているように感じました。

一杯のビールがきっかけで人が集まり、そこからまた新しい会話や時間が生まれていく。
その自然な流れこそが、地域の文化を支えているのかもしれません。

普段何気なく手に取る一杯の中に、こんなストーリーがあることを知ると、少しだけ味わいも変わってくる気がします。
日野町を訪れたときはもちろん、日常の中でもぜひ一度、HINO BREWINGのビールを手に取ってみてください。
その一杯が、誰かとの時間や、どこかの風景につながっていくかもしれません。

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